バレエの才能とは?具体的な資質を現役バレエ留学生が解説

バレエの才能とは?具体的な資質を現役バレエ留学生が解説

これまで習い事として学んでいたバレエ。

より本格的にレッスンに取り組もうか迷っている方、

またこの先プロを目指すつもりでダンサーへの道に挑戦すべきかどうか悩んでいる方がいらっしゃることと思います。

そのような時期には、判断の基準として「才能があるかどうか」を気にする方が多いようです。

ですので、現在ヨーロッパのバレエ学校での留学生活が3年目になる奴(やっこ)が、

現地のバレエ学校が重視しているバレエの資質を紹介するとともに

自分の経験から考えるバレエに要求される才能について解説していきます

バレエに要求される才能

才能と言うと、生まれ持っての特別な保証書のような響きがありますが、

バレエダンサーに要求されるもっとも重要なこととは、アカデミックな教育を受けるということにあります。

そしてそのためには、日本に留まっているだけでは駄目で、しっかりとした海外バレエ学校への留学をする必要があるのです。

勿論日本のバレエスクールでも、ある程度正しい指導は受けられるでしょうし、そうして上手くいけばバレエ団への入団もできるかもしれません。

それも素晴らしいことです。

しかし決められた厳密なメソッドを厳しく順守させる海外バレエ学校での教育を受けることは、

単なる技術以上のことを学ぶということも含めて、日本でのレッスンとは比にならないくらいの発展をもたらすものであります。

だからここに明言するバレエダンサーのための素質とは「海外バレエ学校への留学が可能かどうか」であり、

そして「そのために必要な物事をこの先に実践していけるか」ということです。

身体的な条件などは言わばこのためにあるのであり、留学した先ではそれほど影響しないものであります。

無論、留学して教育を受ければ万事順調というわけでもないことは当たり前です。

ですから、ヨーロッパのバレエ学校で教師が実際に生徒に語っている”バレエに必要なこと”を加えて、

バレエの道を歩むのに必要な要素を以下に解説いたします。

[バレエダンサーに必要な条件]

  • 身体的条件
  • 精神性
  • 集中力
  • 音楽性
  • 芸術性
  • 一般的な教育システムの慣習からの離脱

身体的条件

  • 腕脚が長く、頭が小さく、スリムな体型でスタイルがいい
  • 身長が高すぎず、しかし高い(男性は180㎝前後・女性は165㎝前後)
  • 柔軟性がある
  • 足の甲が出ている(つま先が良く伸びる・ルルベが高い)

日本では、このことばかりが何よりも大切なことのようにささやかれます。

しかし実際には生まれつきの体型というのは一つの要素に過ぎず、バレエを踊るにあたって厳しく言及されることではありません。

海外に行けば、まさにバレエをするために生まれてきたような恵まれた体つきの人など五万と存在します。

しかしそんな彼らが毎日きちんとレッスンを続けていても、それでも埋もれて行ってしまうことなど頻繁にあるものなのだと元プリンシパルの教師が言います。

確かにスタイルが良くなければ由緒あるバレエ団で主役を踊ることは難しいでしょうが、

バレエを極めるということは舞台で王子や姫を踊ることではないのです。

また現に自分などは別にスタイルに恵まれているわけでなく、どころか身長は170㎝強しかなく、柔軟性も目立たず、足先の形も良くありません。

しかしそれでもヨーロッパのバレエ学校の教師に時にありがたいことですが最上級の表現で褒めていただけることもあるくらいにまでなったのですから、

恵まれない普通の日本人体型をしているからと言ってそれほど悲観的になることはありません。

海外バレエ学校への入学のために足りないものは、そのほかの技術・魅力を駆使して補うようにしましょう。

・身長に関する自分のこれまでです☟

精神性

現在所属しているバレエ学校では、校長が教師がことあるごとに「メンタル、メンタル」と言います。

メンタルというのは精神性、そして心の持ちようという意味ですが、

彼らはそれに思考力ということを絡めて言っているように感じます。

前回指導されたことを次回に生かすことが出来ること、

注意されることだけでなく自ら工夫して上達することができる自主性、

またどのようにすれば目的を実現できるかを考え出し実践することのできる解決力。など。

これらを意識しながらレッスンを受けることが、その内容をどれだけ有意義なこととして吸収できるかを決定します。

同じ授業を受けていても、こうしたところで生徒間に差が生まれます。

他人と差をつけることがクラスの本質ではないのですが、

海外バレエ学校の留学のためのオーディションなどでは、これらを持って臨むことが講師の目を引くことになるので、

この思考力を伴う精神性を持ち、のみならず外面にそれのあることを現出するような態度でいるようにしましょう。

集中力

何事にも要求されることですよね。

バレエにおける集中力とは、代表的な例で言えば、レッスンでの振付を瞬時に覚えこむことなどです。

日本においてはあまり意識されないことですが、海外バレエ学校・バレエ団ではこれが非常に重要な問題として扱われるものであります。

どの教師・振付師も素早く振付を記憶してすぐさま実践することのできる人材を好みます。そういう人材を欲してもいます。

オーディションでは、すぐさま振りを覚え前面へ並び出て、自信のある踊りをするようにしましょう。

また集中力と言えば他にも、教師の指導の内容をすべて聞いて吸収しようとする姿勢のことも指します。

大変ではありますが、他の生徒に対する教師のどのような指導もなるべく聞き逃さないようにしましょう。

音楽性

こちらは最もと言ってよいほど重要な要素です。

バレエとは音楽とともに演出する舞踊芸術なのですから、当たり前ですよね。

ですが特に海外バレエスクールでは音に踊りを合わせることの難しい生徒が多数存在しています。

日本人は大抵こちらは得意で、海外でも評価される傾向になるので大丈夫かと思いますが、

もし日本のバレエスクールで教師に頻繁に注意されるのであれば、

音楽をしっかりと聴きとることの他に、適切な音で適切な動作ができるように体に記憶させる訓練をしましょう。

芸術性

自分にとっては芸術とは、考え、試行錯誤するものであるので、正直これを資質として捉えることには疑問を覚えるのですが、

教師陣はどうやらこの芸術性というものを胸の内に秘める情熱のように考えているようです。

これは舞台の上で踊って発揮されるものです。

舞踊によって浮上させられる感情を踊りに融和させることができるかどうか。

また舞踊芸術に内包されている感動の喜びを知っているか、享受したことがあるか。

教師たちは恐らくコンクール・デモンストレーションなどでの踊りを見てこれをダンサーの中に見出すものだと思います。

一般的な教育システムの慣習からの離脱

これまで、バレエダンサー当人に備わっているべき物事を紹介しましたが、

子供がバレエの道へ本格的に分け入っていくためには、親御さんの協力が必要不可欠です。

むしろこの先子供たちがどうするのかは、両親の判断に委ねられていると言って間違いありません。

その際にまず振り切らなければならないのは、この”一般的教育システムの慣習”であります。

つまりは「小学校⇒中学校⇒高校⇒大学(⇒就職)」という流れのことを指します。

社会通念として、「受験競争を勝ち、良い学校を卒業する」ことが明るい将来への道のりであると理解されていますし(実際その通りである部分もあるでしょうし)、

多くの親の方がこの一連の形式の中に努力をされてきたことと思います。

そのため多くの方がこの流れから子供を逸脱させることをいけないことだと恐れているようなのです。

具体的に言うと、離脱を決定し始めるべきなのは、子供が小学校5・6年生の時です。

周囲はこの頃から中学受験に奮起するでしょうが、同じように我々がバレエにとって貴重な時期を塾での受験勉強などにあてると、

当然バレエスクールは休みがちになり、子供の意識もバレエから完全に離れていきます。

受験をすることが必ずしも悪影響だとは言いませんが、中学受験に熱を上げる親子と言うのは、

ほとんどがその後の高校受験、大学受験にも同じような熱量を持って塾に通うことなどに時間とお金を費やすものであります。

バレエダンサーへの道のりはこれらの通常の教育制度の流れと無縁のことと思っていただきたいです。

部活には当然のように入りません。

コンクール、留学で学校を休みます。

文化祭などにもほとんど不参加。

高校受験では、バレエスクールに通い続けるために近くにある楽に入れる高校に決定します。

高校は中途で退学or休学をして留学をします。

大学には現役で行くことはありません。

子供に是非バレエの道を歩んでもらおうと考えるのであれば、これらを念頭に置いて決して中途半端な選択にならないように留意する必要があるのです。

総括

本場ヨーロッパのバレエ学校で日々要求される資質、そして自分がこれまでに必要とされた要素について具体的に解説しました。

バレエについてよく”表現力”であったり”舞台上のカリスマ性”などという技術的なことが必要なこととして語られますが、

そうした舞台における瞬間的なことも確かに大事ではありますが、

バレエというのは長い時間をかけて正しく修練した肉体の美であるので、

もしそれを極めようというのであれば、人生を費やす決意を持って日々の挑戦を長期的に積み重ねていくことをどうかお忘れなく

……リハーサルが間もなく始まるようなので、これにて筆をおかせていただきます。

ではまた。

よい一日を。